中学受験で模試が返却されると、家庭の空気はかなり動きます。
偏差値が上がった。
偏差値が下がった。
算数が悪かった。
国語が取れなかった。
理社で失点した。
志望校判定が悪かった。
クラス落ちが心配になる。
親としては、どうしても結果が気になります。
しかし、模試が返却されたときに大切なのは、偏差値を見て終わることではありません。
模試は、受けた後が本番です。
むしろ、返却されてから何をするかで、模試の価値は大きく変わります。
私は、塾講師や家庭教師として、多くの中学受験生を見てきました。
模試をたくさん受けているのに、成績が伸びない家庭はかなりあります。
その多くは、模試を受けっぱなしにしています。
結果を見る。
偏差値を見る。
判定を見る。
親子で少し落ち込む。
そのまま次の授業に流れる。
これでは、模試を受けた意味が半分以下になります。
模試が返却されたら、まず一喜一憂してよいです。
そのうえで、正答率を見て、解き直しをして、類題演習まで行い、次回の目標を家族で共有する。
ここまでやって、ようやく模試です。
中学受験では、模試を制する者が中受を制します。
まずは一喜一憂する
模試が返ってきたら、まず一喜一憂してよいです。
よく「模試の結果に一喜一憂してはいけない」と言われます。
もちろん、偏差値に振り回されすぎるのはよくありません。
しかし、私は、最初から感情を消す必要はないと思います。
中学受験は、子ども一人で戦っているわけではありません。
家族で戦っています。
子どもが頑張った。
親も送り迎えをした。
宿題を見た。
声をかけた。
お金も時間も使った。
家庭全体で受験に向き合っている。
だから、模試が良かったら一緒に喜べばよいです。
「よく頑張ったね」
「算数、前より取れたね」
「国語の選択肢、今回はよく読めていたね」
「理社の暗記、点数に出たね」
こうやって、家族で喜ぶ。
逆に、悪かったときも、一緒に落ち込んでよいです。
「これは悔しいね」
「今回はきつかったね」
「思ったより取れなかったね」
「でも、ここから見直そう」
このくらいでよいです。
大切なのは、子どもだけを責めないことです。
「なんでこんな点数なの?」
「前にもやったよね?」
「みんなもっと取っているよ」
「塾代いくらかかると思っているの?」
こういう言葉は、模試返却後にはかなり重く刺さります。
中学受験で親が言いがちな言葉については、中学受験で親が言いがちなNGワード5選でも書きました。
模試が返ってきた日は、まず結果を家族で受け止める。
良ければ一緒に喜ぶ。
悪ければ一緒に悔しがる。
中学受験は、子どもを一人で戦わせるものではありません。
家族で共有するものです。
正答率で問題を分ける
一喜一憂したら、次にやるべきことは正答率を見ることです。
模試で大切なのは、点数や偏差値だけではありません。
どの問題を落としたのか。
その問題の正答率は何%だったのか。
ここを見る必要があります。
まず、正答率70%以上の問題。
これは全員必須です。
多くの受験生が正解している問題なので、ここを落としているなら、かなり優先度が高いです。
特に、偏差値50を切っている子は、まず正答率70%以上の問題を完璧にするべきです。
難問に手を出す前に、みんなが取っている問題を取る。
これが最優先です。
算数なら、計算、基本問題、標準的な一行問題。
国語なら、漢字、語句、本文に根拠がある選択肢問題。
理科なら、基本知識と典型問題。
社会なら、基礎知識、地理・歴史・公民の基本事項。
ここを落としているなら、まず普段使っている教材に戻ります。
SAPIXなら、基礎力トレーニング、デイリーサピックス、デイリーサポート。
四谷大塚系なら、予習シリーズ、予習シリーズ 演習問題集、予習シリーズ 計算。
日能研なら、本科教室、栄冠への道、計算と漢字。
こうした普段の教材で、同じ単元の類題を解き直すべきです。
次に、正答率50%以上の問題。
これは、偏差値55以上を狙うなら取りたい問題です。
偏差値50台後半を目指す子にとっては、正答率50%以上の問題をどれだけ取れるかがかなり重要になります。
正答率50%以上の問題は、決して超難問ではありません。
しかし、基本だけでは取れないこともあります。
問題文を正確に読む。
条件を整理する。
算数なら解法の型を使う。
理社なら知識を少し組み合わせる。
国語なら選択肢の細部を比べる。
このレベルの問題を取れるようになると、成績はかなり安定します。
最後に、正答率30%以下の問題。
これは、基本的には最難関校を狙う子が意識すべき問題です。
たとえば、開成、麻布、武蔵、桜蔭、女子学院、雙葉、筑波大学附属駒場、渋谷教育学園幕張、駒場東邦、聖光学院、栄光学園、海城、早稲田、慶應中等部、慶應普通部、早稲田実業、豊島岡女子学園などを本気で狙う層です。
もちろん、正答率30%以下の問題も、できるに越したことはありません。
しかし、偏差値50に届いていない子が、正答率30%以下の問題に長時間かける必要はあまりありません。
それよりも、正答率70%以上の問題を落とさない方が大切です。
宿題の取捨選択については、中学受験で宿題が終わらない家庭が見直すべきことでも書きました。
模試の復習も同じです。
全部を同じ重さで直すのではありません。
正答率で優先順位をつけるべきです。
解き直しと類題演習をセットにする
模試で最も大切なのは、解き直しと類題演習のサイクルです。
解き直しだけでは足りません。
解き直しをして、類題で再現できるかまで確認する。
ここまでやって、初めて模試が得点力に変わります。
たとえば、正答率70%以上の算数の問題を落としたとします。
その問題を解き直して、答えを見て納得する。
これだけでは弱いです。
同じ単元の類題を、普段の教材から出す必要があります。
割合で落としたなら、予習シリーズやデイリーサピックスに戻って、同じ型の問題を解く。
速さで落としたなら、旅人算や通過算の類題を解く。
平面図形で落としたなら、角度、面積比、相似、等積変形の類題を解く。
場合の数で落としたなら、樹形図や規則性の基本問題に戻る。
理科も同じです。
水溶液で落としたなら、水溶液の性質や中和の基本に戻る。
てこで落としたなら、つり合いの基本問題を解く。
電流で落としたなら、回路図と豆電球の明るさを確認する。
植物で落としたなら、蒸散や光合成の基本知識を入れ直す。
社会も同じです。
地理で落としたなら、都道府県、山地山脈、川、農業、工業に戻る。
歴史で落としたなら、時代順、人物、出来事の因果関係を確認する。
公民で落としたなら、国会、内閣、裁判所、日本国憲法の基本を確認する。
模試の解き直しは、間違えた問題をもう一度解くだけではありません。
その問題と同じ考え方を使う問題を、普段の教材で解くことです。
特に、正答率70%以上の問題を落としている場合は、必ず類題演習までやるべきです。
なぜなら、正答率70%以上の問題は、次に出たら必ず取りたい問題だからです。
ここを落としているのに、解き直しだけで終わると、また同じような問題を落とします。
私は家庭教師として、模試が返却されたら必ずこの作業をやっていました。
正答率を見る。
落とした問題を分類する。
解き直しをする。
普段の教材から類題を出す。
次回までの宿題にする。
ここまでやります。
模試を受けまくっているのに伸びない家庭は、たいていこの作業が足りません。
模試を受けるだけ。
偏差値を見るだけ。
判定を見るだけ。
解き直しも軽く見るだけ。
これでは、模試が成績につながりません。
中学受験では、模試の数より、模試後の処理の方が大切です。
次回に向けた目標を家族で共有する
模試の解き直しと類題演習をしたら、最後に次回の目標を決めます。
これを必ず家族で共有します。
模試は、返却されたその日だけで終わらせてはいけません。
次回に向けて、何を改善するのかを決める必要があります。
たとえば、
次回は正答率70%以上の算数を落とさない。
漢字で満点を取る。
計算ミスを2問以内にする。
理科の基本知識問題を取り切る。
社会の地理分野を復習する。
国語の選択肢問題で根拠を確認する。
時間配分を意識する。
大問1の計算を確実に取る。
正答率50%以上の問題をあと3問取る。
こういう形で、具体的にします。
「次は頑張ろう」では弱いです。
何を頑張るのか分かりません。
目標は可視化するべきです。
紙に書く。
ホワイトボードに書く。
ノートに書く。
親子で共有する。
家庭教師がいるなら、次回までの宿題に落とす。
このくらいでよいです。
模試の結果は、家族で共有するべきです。
もちろん、子どもを責めるためではありません。
次に何を取るかを確認するためです。
中学受験では、家庭内で目標が共有されていないと、親だけが焦り、子どもは何をすればいいか分からなくなります。
親は偏差値を見て不安になる。
子どもは怒られた記憶だけが残る。
でも、次に何を直せばいいかは曖昧なまま。
これでは前に進みません。
模試が返却されたら、必ず次回の目標を決める。
そして、それを家族で共有する。
ここまでで模試です。
まとめ:模試を制する者は中受を制す
中学受験で模試が返却されたら、まず一喜一憂してよいです。
良ければ一緒に喜ぶ。
悪ければ一緒に落ち込む。
家族で戦っているのだから、結果も家族で共有する。
そのうえで、正答率を見る。
正答率70%以上の問題は全員必須。
偏差値50を切っているなら、まずここを完璧にする。
正答率50%以上の問題は、偏差値55以上を狙うなら取りたい。
正答率30%以下の問題は、最難関校を狙う層が意識する。
そして、解き直しで終わらせない。
普段の教材に戻って、類題演習までやる。
特に算数、理科、社会は、解き直しと類題演習のサイクルが重要です。
私は塾講師や家庭教師として、模試を受けても解き直しをしていない家庭を山ほど見てきました。
模試を受けるだけでは成績は上がりません。
模試を受ける。
返却後に一喜一憂する。
正答率で分ける。
解き直しをする。
類題演習をする。
次回の目標を家族で共有する。
ここまでやって、ようやく模試です。
中学受験では、模試を制する者が中受を制します。

コメント