中学受験だからといって、ゲームを全面禁止する必要はありません。
むしろ、私はゲームを完全に禁止しない方が、予後がよい家庭が多いと考えています。
もちろん、ゲームを何時間もやってよいという話ではありません。
夜遅くまでゲームをする。
勉強時間を削る。
寝不足になる。
約束を破る。
親の目を盗んでやる。
これは当然よくありません。
しかし、だからといって、
「中学受験をするならゲームは禁止」
「受験が終わるまでゲームは没収」
「成績が上がるまで一切ダメ」
という形にすると、かえって家庭が崩れることがあります。
中学受験で大切なのは、勉強時間だけではありません。
親子関係です。
親子関係が崩れると、勉強の指示も通らなくなります。
親の言葉も届かなくなります。
子どもは反発し、隠れて遊び、嘘をつき、勉強そのものを嫌がるようになります。
そうなると、受験はかなり苦しくなります。
私は、これまで多くの中学受験家庭を見てきました。
御三家、早慶附属、MARCH附属、難関校、中堅校、さまざまな合格者を見てきました。
その中で感じるのは、ゲームを完全に禁止した家庭よりも、時間を決めて上手に許容していた家庭の方が、親子関係が安定しやすいということです。
そして、親子関係が安定している家庭の方が、結果的に受験もうまくいきやすい。
これはかなり重要です。
ゲームそのものが悪いのではない
まず、ゲームそのものが悪いわけではありません。
問題は、ゲームとの付き合い方です。
ゲームをすると必ず成績が下がるわけではありません。
ゲームを禁止すれば必ず成績が上がるわけでもありません。
むしろ、ゲームを禁止した結果、子どものストレスがたまり、親子喧嘩が増え、勉強への集中力が落ちることがあります。
中学受験は長期戦です。
小4、小5、小6と、何年も走り続ける受験です。
その間、ずっと緊張状態で勉強だけを続けるのは、子どもにとってかなり負担が大きいです。
大人でも、仕事だけをして休憩がなければ疲れます。
気分転換がなければ集中力は落ちます。
小学生なら、なおさらです。
だから、ゲームを一日30分程度の気分転換として認めることは、十分ありです。
問題は、ゲームをやることではありません。
時間を守れないこと。
勉強すべき時間を崩すこと。
寝る時間を削ること。
親子で決めた約束を破ること。
ここを管理すべきです。
30分の日課なら許容してよい
私は、ゲームは30分程度の日課として許容してよいと思います。
たとえば、
塾の宿題が終わったら30分。
夕食前に30分。
入浴前に30分。
土日は午前の勉強後に30分。
このように、時間とタイミングを決める。
大切なのは、ゲームを「無制限の遊び」にしないことです。
いつでもできる。
何時間でもできる。
親が注意するまでやめない。
勉強の合間にだらだらやる。
これはよくありません。
一方で、
この時間ならやってよい。
ここまでやったら終わり。
勉強時間は別に確保する。
寝る時間は守る。
約束を破ったら翌日はなし。
このようにルールを決めれば、ゲームはむしろ生活の中のメリハリになります。
ゲームを完全に悪者にする必要はありません。
ゲームはストレス発散になる
中学受験の子どもは、かなりストレスを抱えます。
塾の授業。
宿題。
小テスト。
クラス分け。
模試。
偏差値。
親からの声かけ。
友達との比較。
志望校へのプレッシャー。
大人が思っている以上に、子どもは疲れています。
その中で、短時間のゲームがストレス発散になることがあります。
ゲームをして、少し気分を切り替える。
好きなことをする時間がある。
勉強だけではない時間がある。
これは大切です。
もちろん、ゲーム依存のようになってはいけません。
しかし、30分程度の気分転換まで奪う必要はありません。
むしろ、すべてを奪うと、子どもは逃げ場を失います。
逃げ場を失った子は、勉強に向かうどころか、受験そのものを嫌がるようになることがあります。
中学受験では、子どもの精神状態を保つことも重要です。
ゲームを禁止する「形式」がよくない
問題なのは、ゲームそのものではなく、ゲームを禁止するという形式です。
「受験生なんだからゲーム禁止」
「成績が悪いからゲーム禁止」
「ゲームをする子は受からない」
「全部捨てる」
「もう二度とやらせない」
こういう言い方をすると、子どもはどう感じるか。
親に奪われた。
自分の楽しみを否定された。
勉強のために全部我慢しろと言われている。
親は自分の気持ちを分かってくれない。
こうなりやすいです。
その結果、子どもは親の言葉を聞きにくくなります。
表面上は従っていても、内心では反発している。
親の前では勉強するが、隠れて遊ぶ。
ゲームを取り上げられた不満が、勉強への反発に変わる。
こういう家庭は危険です。
中学受験で大切なのは、親が子どもを力で押さえつけることではありません。
子どもが、親の言葉をある程度受け入れられる関係を作ることです。
親子関係がよい家庭は受かりやすい
中学受験は、親子関係が非常に大切です。
これはきれいごとではありません。
親子関係がよい家庭は、勉強の指示が通りやすいです。
「そろそろ始めよう」
「今日はここまでやろう」
「これはやり直そう」
「テスト直しをしよう」
「今日は早く寝よう」
こういう声かけが、比較的入りやすい。
一方で、親子関係が悪い家庭では、何を言っても反発されます。
「うるさい」
「今やろうと思っていた」
「分かってる」
「やりたくない」
「どうせ怒るだけでしょ」
こうなると、勉強以前の問題になります。
中学受験は、子ども一人では管理しきれません。
家庭のサポートが必要です。
しかし、そのサポートが機能するためには、親子関係が壊れていないことが前提です。
ゲームを禁止して親子関係を壊すくらいなら、時間を決めて認めた方がよいです。
ゲームを認めると、親の言うことも守りやすくなる
ゲームを一部認めることには、もう一つ大きな意味があります。
それは、子どもにとって、
「親は自分の楽しみも少しは分かってくれている」
という感覚が生まれることです。
これがあると、親の指示も入りやすくなります。
ゲームを30分認めてもらった。
だから、その前に宿題をやろう。
約束を守れば、明日もできる。
親も全部を禁止しているわけではない。
こうなると、子どももルールを守りやすくなります。
これは、ある意味で返報性です。
親が子どもの楽しみを一定程度認める。
子どもも親との約束を守る。
この関係が作れると、家庭内の空気はかなり安定します。
逆に、親が全部を禁止すると、子どもはこう思いやすいです。
どうせ何を言っても禁止される。
親は分かってくれない。
だったら隠れてやればいい。
勉強も言われたから仕方なくやるだけ。
この状態はよくありません。
中学受験では、親が一方的に命令するより、ルールを共有した方がうまくいきます。
ゲームをやらせるなら、時間と条件を決める
ゲームを許容するといっても、無制限にしてはいけません。
大切なのは、時間と条件を決めることです。
たとえば、
一日30分まで。
やってよい時間は夕食前まで。
寝る前はやらない。
塾の宿題が終わってから。
テスト前日はなし。
約束を破ったら翌日はなし。
親に隠れてやったら一度リセット。
このように、家庭のルールを作る。
ポイントは、ルールを曖昧にしないことです。
「やりすぎないでね」
「ほどほどにしてね」
「ちゃんと勉強してからね」
これでは曖昧です。
子どもからすると、どこまでがやりすぎなのか分かりません。
親もその日の気分で怒ることになります。
だから、数字で決める。
30分。
何時まで。
何を終えたら。
どの日はよい。
どの日はダメ。
こう決めるべきです。
勉強すべき時間も決める
ゲームの時間を決めるなら、同時に勉強すべき時間も決める必要があります。
ゲームだけを管理しても意味がありません。
たとえば、
学校から帰ったら休憩。
17時から18時まで算数。
夕食後に国語の読解。
寝る前に漢字。
塾の翌日は復習中心。
土曜午前は週テスト直し。
このように、勉強の時間を見える形にする。
そうすれば、子どもも分かります。
今は勉強の時間。
ここまで終わればゲームできる。
ゲームの後は風呂に入る。
夜は早く寝る。
生活にメリハリが出ます。
ゲームが悪いのではありません。
ゲームによって生活全体が崩れることが悪いのです。
だから、ゲーム時間と勉強時間をセットで設計する必要があります。
メリハリがある家庭は強い
中学受験で強い家庭は、メリハリがあります。
勉強するときは勉強する。
休むときは休む。
遊ぶときは遊ぶ。
寝るときは寝る。
この切り替えができている家庭は強いです。
逆に、伸びにくい家庭は、ずっと中途半端です。
勉強中もゲームが気になる。
ゲーム中も親が怒っている。
休憩しているのに罪悪感がある。
夜遅くまでだらだら起きている。
親も子どもも常に不満を抱えている。
これでは疲れます。
ゲームを禁止するのではなく、生活の中にきちんと位置づける。
これが大切です。
「ゲームは悪」ではなく、
「ゲームは決めた時間だけ楽しむもの」
にする。
その方が、子どもも納得しやすいです。
ゲームを禁止しても、別の逃げ場に行くだけ
ゲームを禁止すれば、子どもが勉強に向かうとは限りません。
ゲームを禁止しても、子どもは別の逃げ場を探します。
ぼーっとする。
漫画を読む。
動画を見る。
友達と話す。
布団にこもる。
親に隠れてスマホを見る。
勉強しているふりをする。
つまり、ゲームを取り上げたからといって、その時間がそのまま勉強に変わるわけではありません。
ここを勘違いしてはいけません。
問題は、ゲームをしていることではなく、勉強に向かう状態ができていないことです。
ゲームを禁止しても、親子関係が悪くなり、子どもの気力が落ちれば、かえって勉強効率は下がります。
それなら、最初から短時間のゲームを認め、その代わり勉強時間を守らせる方が現実的です。
全面禁止より、約束を守る練習にする
ゲームは、約束を守る練習にもなります。
一日30分。
時間が来たらやめる。
宿題が終わってからやる。
寝る前はやらない。
約束を破ったら翌日はできない。
これは、自己管理の練習です。
中学受験では、自己管理が必要になります。
宿題を管理する。
時間を管理する。
テスト直しをする。
苦手科目から逃げない。
睡眠を確保する。
これらは、親がすべて力で押さえ込んでも身につきません。
子ども自身が、少しずつ約束を守る経験を積む必要があります。
ゲームを完全に禁止すると、この練習の機会を失います。
もちろん、どうしても守れない子もいます。
その場合は、ルールを厳しくする必要があります。
しかし、最初から全面禁止にする必要はありません。
まずは、決めた時間だけやる。
守れたら継続する。
守れなければ一時停止する。
この方が、家庭として健全です。
禁止ではなく、設計する
中学受験でゲームをどう扱うか。
答えは、禁止ではありません。
設計です。
いつやるのか。
何分やるのか。
何を終えてからやるのか。
どの時間帯はやらないのか。
約束を破ったらどうするのか。
テスト前はどうするのか。
長期休暇中はどうするのか。
これを家庭で決める。
ゲームを放置してはいけません。
しかし、感情的に禁止してもいけません。
親が冷静にルールを作り、子どもにも納得させる。
これが必要です。
中学受験は、親が怒鳴って管理するものではありません。
家庭全体を設計する受験です。
ゲームの扱いも、その一部です。
まとめ:中学受験でゲームを禁止するより、親子関係を守る方が大切
中学受験だからといって、ゲームを全面禁止する必要はありません。
むしろ、ゲームを完全に禁止することで、親子関係が悪くなり、勉強への反発が強まることがあります。
ゲームは、時間を決めれば気分転換になります。
ストレス発散にもなります。
親が子どもの楽しみを一定程度認めることで、子どもも親のルールを受け入れやすくなります。
大切なのは、無制限にすることではありません。
一日30分程度。
やってよい時間を決める。
勉強すべき時間も決める。
寝る前は避ける。
約束を破ったらルールを見直す。
こうしたメリハリが必要です。
中学受験で一番怖いのは、ゲームそのものではありません。
親子関係が壊れることです。
親子関係がよい家庭は、勉強の指示が通りやすい。
生活も整えやすい。
子どもも受験を完全には敵視しにくい。
だから、ゲームを敵にしすぎてはいけません。
禁止ではなく、設計する。
奪うのではなく、ルール化する。
感情で叱るのではなく、約束で管理する。
この方が、中学受験でははるかに現実的です。

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