塾講師・家庭教師として見てきた、成績が伸びなかった子の特徴

塾講師・家庭教師として多くの中学受験生を見てきましたが、成績が伸びにくい子には、いくつか共通点があります。

能力が低いという話ではありません。

真面目に勉強している。
塾にも通っている。
宿題もそれなりにやっている。
親も一生懸命見ている。

それなのに、成績が伸びない子はいます。

その場合、問題は「努力不足」ではなく、勉強の向きがずれていることが多いです。

特に多いのは、次の3つです。

難しいことばかりやっている。
復習をしない。
集団塾で伸びにくいタイプなのに、個別指導を使っていない。

この3つに当てはまると、勉強時間を増やしても、成績はなかなか上がりません。

難しいことばかりやっている子は伸びにくい

成績が伸びない子にかなり多いのが、現在地に合っていない難しい問題ばかりやっているケースです。

たとえば、SAPIXの偏差値で50に届いていないのに、算数でD問題やE問題にかなり時間を使っている。

四谷大塚の模試で偏差値50に届いていないのに、算数で星3つの問題まで必死に取り組んでいる。

国語が苦手なのに、いきなり記述問題ばかりやっている。

こういう勉強は危険です。

難しい問題をやること自体が悪いわけではありません。

問題は、基礎から標準問題が固まっていない段階で、難問に時間を使いすぎることです。

中学受験では、親も子どもも不安になります。

上のクラスに行きたい。
難関校に受かりたい。
難しい問題も解けるようにならないといけない。
周りの子はもっと難しい問題をやっている。

そう思うと、つい難しい問題に手を出したくなります。

しかし、偏差値50に届いていない段階で最優先すべきなのは、難問ではありません。

基本問題と標準問題を、確実に取ることです。

難問が解けないことより、取るべき問題を落としていることの方が深刻です。

難問に時間を使うと、取るべき問題が固まらない

成績が伸びない子は、難問で苦しんでいる時間が長すぎることがあります。

算数の難しい問題を30分考える。
解説を読んでも分からない。
親が説明しても分からない。
結局、よく分からないまま終わる。

これを繰り返しても、成績は安定しません。

なぜなら、テストで点になる基本・標準問題の復習時間が消えるからです。

中学受験では、上位校を目指す場合でも、まずは落としてはいけない問題を落とさないことが重要です。

基本問題。
典型問題。
授業で扱った問題。
塾で出た類題。
テストで間違えた標準問題。

ここを固めずに難問へ進むと、勉強しているように見えて、実際には土台が作られていません。

算数で伸びない子は、難問が解けない以前に、典型問題の再現性が低いことが多いです。

解説を読めば分かる。
授業中は分かる。
先生に説明されれば分かる。

しかし、次に自分で解くとできない。

この状態なら、難問ではなく、まず標準問題の解き直しと類題演習です。

国語が苦手なのに記述ばかりやるのは危険

国語でも同じです。

国語が苦手な子に、いきなり記述問題ばかりやらせても、なかなか伸びません。

記述問題は、かなり難しいです。

本文を読む。
設問の要求をつかむ。
根拠を探す。
答えに必要な要素を選ぶ。
文としてまとめる。
字数に収める。

これを全部やらなければいけません。

国語が苦手な子にとっては、かなり負荷が高い作業です。

それなのに、いきなり記述ばかりやると、子どもは何が悪いのか分からないまま、ただ赤を入れられるだけになります。

主語がない。
理由になっていない。
本文の言葉を使えていない。
聞かれていることに答えていない。

こう言われても、本人はどこから直せばいいのか分かりません。

国語が苦手な子は、まず選択肢問題から入った方がよい場合があります。

選択肢問題では、答えの候補がすでに書かれています。

「どういうことか」
「なぜか」
「どんな気持ちか」

こうした問いに対して、どの選択肢が本文と合っているのか、どこがずれているのかを確認できます。

国語が苦手な子がまず選択肢問題から取り組むべき理由については、中学受験の国語が苦手な子は、まず選択肢問題からやるべきで詳しく書いています。

記述は大事です。

しかし、国語が苦手な子にとっては、最初から記述だけをやるより、選択肢問題で設問への答え方を身につけてから記述に進む方が自然です。

復習をしない子は伸びにくい

成績が伸びない子のもう一つの特徴は、復習をしないことです。

これは本当に多いです。

塾には行く。
授業も受ける。
宿題も一応やる。
テストも受ける。

しかし、復習をしない。

これでは伸びにくいです。

中学受験で一番伸びる勉強は、派手な勉強ではありません。

塾で扱った問題を解き直す。
授業で出た類題をもう一度やる。
テストで間違えた問題を解き直す。
同じ考え方の問題を自力で解けるようにする。

この地味な作業が、一番伸びます。

ところが、成績が伸びない子ほど、この地味な復習をサボります。

新しい問題には取り組む。
難しい問題にも手を出す。
宿題のページは埋める。

しかし、一度間違えた問題をもう一度解かない。

これでは、同じミスを繰り返します。

復習は、解説を見ることではありません。

一度間違えた問題を、何も見ずにもう一度解けるか。
授業で扱った類題を、自分の手で再現できるか。
テストで間違えた問題を、数日後に解いても正解できるか。

ここまで確認しなければ、復習したことにはなりません。

塾で出た類題をサボる子は伸びにくい

特に伸びにくいのは、塾で出た類題をサボる子です。

授業で先生が説明した問題。
その後に出された類題。
宿題の中で、授業内容を確認するための問題。

ここを飛ばす子は伸びにくいです。

なぜなら、類題こそが「分かった」を「できる」に変える場所だからです。

授業を聞いて分かる。
先生の説明なら理解できる。
でも、自分で解けない。

この差を埋めるのが類題演習です。

類題をやらない子は、いつまでも授業依存になります。

先生がいれば分かる。
解説を読めば分かる。
親が横にいれば解ける。

しかし、テストでは自分一人です。

だから、類題をサボる子はテストで伸びません。

授業後に類題をやる。
間違えたら解き直す。
数日後にもう一度解く。
似た問題で確認する。

この流れが必要です。

地味ですが、これが一番伸びます。

集団塾だけで伸びにくい子もいる

成績が伸びない子の中には、集団塾だけでは伸びにくいタイプの子もいます。

もちろん、集団塾が悪いという意味ではありません。

SAPIX、早稲田アカデミー、四谷大塚、日能研などの大手塾には、それぞれ強みがあります。

カリキュラムも整っています。
教材も豊富です。
テストもあります。
競争環境もあります。

集団塾で伸びる子は、どんどん伸びます。

しかし、全員が集団塾だけで伸びるわけではありません。

授業中に分からないところを質問できない子。
分からないまま次の単元に進んでしまう子。
宿題の優先順位を自分でつけられない子。
集団授業のスピードについていけない子。
間違い方に癖がある子。
親が見ても、どこで詰まっているか分からない子。

こういう子は、集団塾だけでは伸びにくいことがあります。

その場合、プロ家庭教師やプロの個別指導を入れることで、成績が大きく変わることがあります。

実際に、四谷大塚系の偏差値で40台だった子が、プロ家庭教師やプロの個別指導で55前後まで伸びた例を見てきました。

もちろん、誰でも必ず伸びるという意味ではありません。

しかし、集団塾で伸びにくいタイプの子には、個別に原因を見てもらう時間が必要です。

個別指導で見るべきなのは、宿題管理だけではない

個別指導や家庭教師をつける場合、単なる宿題管理だけで終わると弱いです。

「宿題をやったか」
「丸つけをしたか」
「分からない問題を教える」

これだけでは、十分ではありません。

本当に見るべきなのは、なぜ伸びていないかです。

難しい問題に時間を使いすぎていないか。
基本問題を落としていないか。
復習ができているか。
類題演習をサボっていないか。
国語で設問を読めているか。
算数で典型問題を再現できているか。
理社の知識が入試で使える形になっているか。
集団塾の宿題を全部やろうとして崩れていないか。

ここを見る必要があります。

家庭教師をつけても成績が上がらない家庭の特徴については、中学受験で家庭教師をつけても成績が上がらない家庭の特徴で詳しく書いています。

個別指導や家庭教師は、単に隣で教えてもらうためのものではありません。

子どもの現在地を見て、何をやるべきで、何をやらなくてよいかを整理するために使うべきです。

まとめ:伸びない子は、勉強の順番を間違えている

成績が伸びない子は、必ずしも勉強していないわけではありません。

むしろ、かなり勉強している子もいます。

しかし、順番を間違えています。

基本が固まっていないのに難問をやる。
標準問題を落としているのに応用問題に行く。
選択肢問題が不安定なのに記述ばかりやる。
授業を受けるだけで復習しない。
類題をサボる。
集団塾で詰まっているのに、個別の手当てをしない。

この状態では、努力が点数に結びつきません。

中学受験では、努力量も大事です。

しかし、努力の向きはもっと大事です。

今の学力に合った問題をやる。
塾で出た問題を復習する。
類題で再現できるようにする。
必要なら個別指導で原因を見てもらう。

この順番を外さないことです。

難しいことをやっているから偉いわけではありません。

今の子どもに必要な問題を選び、復習し、類題で再現し、必要なら個別に修正すること。

地味ですが、これが一番伸びます。

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