中学受験の国語が苦手な子は、まず選択肢問題からやるべきです。
いきなり記述問題ばかりやらせる必要はありません。
むしろ、国語が苦手な段階でフル記述を大量にやらせると、かなりの確率で崩れます。
記述問題は、国語の総合格闘技です。
本文を読む。
問題文を読む。
何を聞かれているか判断する。
根拠を探す。
必要な要素を選ぶ。
自分で答案を組み立てる。
語尾を整える。
文字数に収める。
これを全部やらなければいけません。
国語が苦手な子にとって、これは負荷が高すぎます。
だから、最初から記述を大量にやらせるより、まず選択肢問題で「正しい答えの形」を見る練習をした方がよいです。
国語は、本文・問題文・選択肢・答案とのコミュニケーションです。
この点については、別記事「中学受験の国語が伸びない子は『問題文』を読めていない」で詳しく書きました。
この記事では、その先の話をします。
国語が苦手な子は、なぜ選択肢問題から始めるべきなのか。
答えは単純です。
選択肢問題には、答えの候補がすでに書かれているからです。
選択肢問題は、答えを作る前の練習になる
国語が苦手な子にとって一番難しいのは、答えを自分で作ることです。
本文のどこを使えばよいのか。
何を書けばよいのか。
どの順番で書けばよいのか。
どこまで書けばよいのか。
どういう語尾にすればよいのか。
これが分からない。
その状態で記述問題をやらせても、答案はなかなか安定しません。
一方、選択肢問題では、答えの候補が最初から示されています。
子どもはゼロから答案を作る必要がありません。
まずは、並んでいる選択肢の中から、
どれが本文に合っているか。
どれが問いに答えているか。
どれが言いすぎか。
どれが主語ずれか。
どれが因果関係としておかしいか。
これを見ればよい。
つまり、選択肢問題は「答えを作る前段階」の練習になります。
正しい答えを作る前に、まず正しい答えを見抜く。
この順番が大切です。
「どういうことか」は選択肢でイコールを確認できる
「どういうことか」と聞かれたら、基本は言い換えです。
傍線部の内容を、本文に即して分かりやすく言い換える。
つまり、傍線部と答えがイコールになる必要があります。
国語が苦手な子は、このイコールの感覚が弱いです。
傍線部の近くにある言葉を拾う。
なんとなく似た内容を選ぶ。
一部だけ合っている選択肢を選ぶ。
理由を聞かれていないのに理由っぽいものを選ぶ。
気持ちを聞かれていないのに気持ちを選ぶ。
こういうことが起きます。
選択肢問題なら、イコールになっているかどうかを比べやすいです。
この選択肢は傍線部全体の言い換えになっているか。
指示語の中身が合っているか。
比喩を正しく言い換えているか。
抽象的な言葉を具体化できているか。
一部だけではなく、全体に対応しているか。
これを確認できます。
記述でいきなり書かせるより、まず選択肢で「傍線部=選択肢」の対応を見抜く方が、国語が苦手な子には入りやすいです。
心情問題も、まず選択肢で感情の方向をつかむ
物語文の心情問題も、選択肢から始める価値があります。
心情問題では、出来事と感情をつなぐ必要があります。
何が起きたから、その気持ちになったのか。
どの発言から、その気持ちが分かるのか。
本文ではどの程度の感情なのか。
その気持ちは本文の流れに合っているのか。
ここを見る必要があります。
ところが、国語が苦手な子は、自分の感覚で選びがちです。
「自分ならこう思う」
「なんとなく悲しそう」
「この言葉があるから怒っているはず」
「強い感情の方が正解っぽい」
こうなる。
選択肢問題では、感情語がすでに提示されています。
不安。
安心。
戸惑い。
期待。
悔しさ。
寂しさ。
誇らしさ。
申し訳なさ。
それらを本文の出来事と照合できる。
本文では少し戸惑っているだけなのに、選択肢では「絶望」となっていないか。
本文では期待しているのに、選択肢では不安が中心になっていないか。
本文では相手への申し訳なさなのに、選択肢では自分への怒りになっていないか。
このように、感情の方向と強さを確認できます。
心情記述でいきなり書かせるより、まず選択肢で感情のズレを見抜く方が、ずっと現実的です。
「なぜか」は選択肢で因果関係を確認できる
「なぜか」問題では、理由を答える必要があります。
ただし、理由らしいことを選べばよいわけではありません。
その理由から、傍線部の内容につながるか。
これが大事です。
つまり、因果関係です。
国語が苦手な子は、「なぜか」問題でよく失敗します。
傍線部を言い換えただけの選択肢を選ぶ。
理由ではなく説明を選ぶ。
直前に書いてあるだけの内容を選ぶ。
結果をもう一度述べているだけの選択肢を選ぶ。
因果関係が弱い選択肢を選ぶ。
選択肢問題なら、この因果関係を比較できます。
この理由なら、傍線部につながるか。
この原因から、その行動になるか。
この出来事があったから、その気持ちになると言えるか。
原因と結果が逆になっていないか。
理由が本文にあるか。
これを選択肢ごとに確認する。
この作業は、記述の前段階として非常に重要です。
記述で理由を書けない子は、そもそも正しい因果関係を見抜けていないことが多い。
だから、まず選択肢で因果関係を見抜く練習をするべきです。
記述問題は、選択肢問題の後でよい
記述問題をやらなくてよい、という話ではありません。
志望校によっては、記述対策は必須です。
ただし、順番を間違えてはいけません。
国語が苦手な子にとって、記述はかなり重い。
答えの方向を自分で決める。
本文から要素を拾う。
必要な情報を整理する。
言葉をつないで答案にする。
これをいきなりやるのは難しい。
だから、まず選択肢問題で土台を作る。
「どういうことか」はイコール。
心情問題は出来事と感情の対応。
「なぜか」は因果関係。
選択肢は本文とのズレを見る。
これを選択肢問題で練習する。
そのうえで短い記述に進む。
そして、得点力がついてきたら長めの記述に進む。
この順番でよいです。
苦手なのにフル記述から入るのは危険
国語が苦手な子に、最初からフル記述を大量にやらせるのは危険です。
親は焦ります。
「志望校に記述が出る」
「記述が書けない」
「だから記述をやらせないといけない」
こう考えがちです。
気持ちは分かります。
しかし、記述が書けない原因は、書く力だけではありません。
問いを読めていない。
本文根拠を取れていない。
答えの方向がずれている。
因果関係が分かっていない。
心情の方向を読み違えている。
傍線部との対応が取れていない。
こうした土台がないまま書かせても、答案は崩れます。
そして、直され続ける。
「理由になっていない」
「問いに答えていない」
「要素が足りない」
「本文を見ていない」
「何を書いているか分からない」
これが続くと、子どもは国語そのものが嫌になります。
苦手な子に必要なのは、いきなり重い記述を課すことではありません。
まず、選択肢問題で正しく読めた経験を積ませることです。
選択肢問題は、ただ解くだけでは足りない
ただし、選択肢問題を大量に解けばよいわけではありません。
大切なのは、解いた後です。
なぜその選択肢を選んだのか。
なぜ他の選択肢を消したのか。
本文のどこを根拠にしたのか。
問題文は何を聞いていたのか。
選択肢のどこが本文と合っていたのか。
どこがずれていたのか。
ここを確認しなければ意味がありません。
正解していても、理由を聞くべきです。
たまたま当たっただけなら、それは実力ではありません。
国語の選択肢問題は、勘で当てるものではありません。
本文・問題文・選択肢を照合する練習です。
だから、選択肢問題をやるときは、必ず理由まで確認する。
ここまでやって、初めて力になります。
選択肢問題で見るべきズレ
選択肢問題では、正解を探すだけではなく、ズレを見ることが大切です。
本文に書いていない。
問いに答えていない。
言いすぎている。
主語が違う。
気持ちの方向が違う。
因果関係が逆。
一部だけ合っている。
本文の言葉は使っているが、内容がずれている。
こういう選択肢を消せるようになると、国語の得点力は上がります。
特に注意すべきなのは、「部分的に正しい選択肢」です。
前半は合っている。
本文の言葉も入っている。
一見もっともらしい。
しかし、後半が違う。
問いには答えていない。
国語が苦手な子は、こういう選択肢に引っかかりやすいです。
だからこそ、選択肢を一つずつ本文と照合する練習が必要です。
得点力が上がってから記述に進めばよい
選択肢問題で安定して得点できるようになったら、記述に進めばよいです。
その段階では、子どもはすでに正しい答えの形をある程度見ています。
「どういうことか」はどう言い換えるのか。
「なぜか」はどう理由をつなぐのか。
心情問題では何を書くべきなのか。
本文根拠をどう使うのか。
どこまで書くとよくて、どこからが言いすぎなのか。
これを選択肢問題で学んでいる。
だから、記述に進んだときにも、完全なゼロからではありません。
選択肢で見抜いていたものを、今度は自分で作る。
この順番です。
選択肢問題。
短い記述。
長い記述。
この流れの方が、国語が苦手な子には合っています。
まとめ:国語が苦手なら、まず選択肢で正しい答えの形を学ぶ
中学受験の国語が苦手な子は、まず選択肢問題からやるべきです。
選択肢問題には、答えの候補がすでに書かれています。
だから、国語が苦手な子でも、
傍線部とイコールになっているか。
心情の方向が合っているか。
因果関係がつながっているか。
本文とずれていないか。
問いに答えているか。
を確認しやすい。
これは、記述問題の準備になります。
いきなり記述で答えを作らせるのではなく、まず選択肢で正しい答えを見抜く。
正しい答えの形を見抜けるようになってから、自分で答案を作る。
この順番が自然です。
間違っても、国語が苦手な子にいきなりフル記述ばかりやらせてはいけません。
苦手な子には段階が必要です。
まず選択肢問題で、本文・問題文・選択肢と正しく会話する。
得点力が上がってきたら、記述に進む。
この方が、国語が苦手な子にとってはるかに現実的です。

コメント